どうして私が数学科に!?

数学や物理の勉強中に気がついたことや気になったことを書きます。

このブログについて

はじめましての方には、はじめまして。 Twitterからお越しの方には、いつもありがとうございます。

 

染井というものです。京大工学部志望の高校生で、TwitterではDaisho1610の名前で活動してます。好きな素数は17と19で、好きな合成数は6と28です。

 

さて、このブログについて簡単にご紹介を...

主に日々の学習で気付いた、数学や物理に関する発見や疑問を書いていこうと思っています。

また、ブログ名からもわかるようにオタクですので、尊さが振り切った時はこちらに放出するかもしてません。

 

それでは何卒よろしくお願いいたします。

立体角の話【360空間度を考える】

コンビニに貼ってあった「その万引き、360°どこからでも見ているよ」の標語ポスター(フクロウの絵がとても上手かった)。
これを見て「360°って平面の話では?それではある平面でしか見張れてないのではないか?」という疑問が思い浮かんだのです。
要するに、『360°見張る』という表現に違和感を感じたわけです。
なので、『360°見張る』の正確な表現を考えていこうと思います。

まず用語の確認です。
wikiに依ると、
度(°)とは「円周を360等分した弧の中心に対する角度である。」
円周とは「円の境界となる曲線。」
円とは「”平面上“のある点からの距離が等しい点の集合。」とあり、
また、広辞苑 第六版に依ると、
度とは「円周を360に等分し、その1単位の演習の中心角を1度という。」
円周とは「一平面上で、一定点(中心)から等距離(半径)にある点の軌跡。」とありました。

ん?”平面上“?

つまり、これらを逆にたどると、度(°)とは「“平面上”のある点からの距離が等しい点の集合を360等分した孤の中心に対する角度」であると解釈できます。
なるほど最初の「『360°見張る』という表現は変ではないか?」という考えは妥当な感じがしてきましたね。

しかし、ここで製作者の意図を汲み取ると、「全方位どこからでも見張っているぞ」ということを言いたかったということは容易に想像できます。クソリプおじさんにはなりたくないので、なんとかして代替案提案おじさまになれるようにしっかり代替を考えていきます。

つまり、「全方位(全球)をなんとかして角度的な表現で表し、正確な『360°見張る』を考える」というのが本記事のテーマになります。まぁザックリ言えば「空間的な360°」を探そうということです。
(以降、これを360空間度と表記します。)

自力で考える前に、既にそういう概念がないか調べてみました。
まず、空間上の角度の概念として「ステラジアン」(単位:sr)というものがあります。
皆さんご存知のラジアンの空間版です。定義は「半径の平方に等しい面積をもつ球面上の円の、中心に対する角度」。ラジアンと似てますね。
ステラジアンを用いると、全球は4\pi sr となります。(ラジアンで全周が2\pi srと表されるのと似てますね。)
つまり、360空間度=4\pi sr となります。
とてもスッキリした値で見た人のウケも良いのではないでしょうか。(そう思うのは筆者だけ?)
とは言え、身の回りでラジアンの概念を見ることが少ない以上、360空間度もステラジアンを用いずに表したいというのが人間の性と言うものですよね。

もう一つ、 「平方度」(単位:deg^2)という概念がありました。
「1度を一辺とする正方形と等しい面積の円の、中心に対する角度」です。
1度を基準とするあたり、度(°)の正当進化版という雰囲気がありますね。360空間度の表現に最適なのではないでしょうか?
早速、360空間度を平方度を用いて表してみます。

1deg^2 = \left(\frac{2\pi}{360} \right)^2 sr = \frac{\pi^2}{32400} sr
であり、
前述のように、全球は4\pi srであるから、
全球は約41252.96 deg^2 となります。
つまり、360空間度=41252.96 deg^2となります!目標達成!!

......なんだこのパッとこない数字は!
「その万引き、41253平方度どこからでも見ているよ」となるわけです。風情のカケラも感じられない。
これならまだ4\pi srを使った方がわかりやすいでしょう。「41253?は?」ってなりますよ誰でも。

やはり一番わかりやすい表現は360°という違和感のある表現なのか......

と思っていた次の日に閃いた!
極座標系を使えば良いじゃないかと!
空間だからといって、無理に三次元の概念を持ってくる必要は無かったんですね。


と言うことで見つけてきました「球面座標系」

f:id:mathphys1719:20181219173442p:image

(画像: 球面座標系 - Wikipedia )
\left(\theta , \phi \right)と座標を置いて、どの方向を向いているか考える概念です。つまり、平面角を2回使って空間角を表現するわけですね。
これなら、二次元の概念だけで三次元を把握できるので感覚的にもわかりやすいと思います。
球面座標系を用いると、360空間度=\left(\theta , \phi \right)と表せますね。(任意の角度が360空間度に対応するため。極座標で半径1の円を(1,\theta)と表すようなものです。)
ただし、ここではrの座標を指定しない記述法にしているため全球は表現できません…


以上より、「360空間度」は
甲.4\piステラジアン(感覚的にはわかりにくいが、数字は綺麗)
乙.41253平方度(360°の正当進化だが、風情がない)
丙.360°(正確な表現でないが、感覚的にはわかりやすい)
丁.球面座標系\left(\theta , \phi \right)(二次元の概念だけで理解可能だが、パッと見記号だけなので謎)

のいずれかで表すことができそうです。
個人的には、値の綺麗な甲のステラジアンか、感覚的にわかりやすい丁の球面座標系を推していきます。(ラジアンステラジアンの概念はもっと日常に浸透するべきだと思います…)

最後に、甲と丁を用いて件の標語をリメイクしてみましょう。
甲.「その万引き、4\piステラジアンどこからでも見ているよ」
丁.「その万引き、(360°,360°)どこからでも見ているよ」

如何でしょうか、360空間度。皆様の生活にもどうぞ…

参考文献
度 (角度) - Wikipedia
円 (数学) - Wikipedia
ステラジアン - Wikipedia
平方度 - Wikipedia
球面座標系 - Wikipedia
岩波書店 広辞苑 第六版

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